去年の夏に、25年勤めた職場を退職、少し時間ができたため、近場で1泊~2泊のソロ温泉を楽しむことにしました。一応自分なりに予算を決めて、素泊まりなら1泊1万円以下、2食付きなら1万円代で泊まれる宿にしています。個人的には古い宿とか風情を感じる温泉街が好きです。
■渋温泉
今回渋温泉に決めたのは、NHKBSの旅番組「ゆったり温泉一人旅」で、石畳の温泉街とか外湯めぐりに魅かれたからです。渋温泉には外湯(共同浴場)九湯があり、宿泊客は「1泊住民」として無料で巡浴が楽しめます。長野県なので1泊でもいいかもしれないけど、ゆっくり外湯めぐりもしたいし、近くには地獄谷野猿公苑という人気の観光地もあるので、今回は2泊3日にしました。東京駅から長野新幹線で約80分、長野駅から長野電鉄の特急で約50分。終点の湯田中駅からバスで約10分の渋温泉バス停で降ります。午前中の新幹線に乗れば午後のチェックインの時間頃にちょうど着きます。交通費は東京駅から渋温泉バス停まで片道約1万円でした。
■宿:丸善旅館さん
今回宿泊したのは丸善旅館さん。昭和レトロな雰囲気で、渋温泉のバス停の目の前。ただし、温泉街は小さいので、どこの旅館でもバス停から近いです。この日の宿泊客は私ひとりだったようで、本来男女入替制の檜風呂を独占(温泉ファンは「独泉」というらしい)できました。素泊まりで1泊1万円ぐらい。気兼ねなく泊まれる感じの宿です。
■外湯めぐり1日目
1日目の午後、宿に着くとさっそく鍵を借りて外湯めぐり、はりきって一番湯の「初湯(はつゆ)」に。小さなかわいらしい共同湯で私ひとり。でも熱すぎて水でうめてもうめても入れない。そもそも湯船の外に流れ出ている湯の上を歩いただけでやけどしそうに熱い。入るのをあきらめて2番湯「笹の湯」に行きましたが工事中。三番湯「綿の湯」はひとり先客がいて、一生懸命水を出してかき混ぜていたけどやっぱり熱すぎてすぐに出ていかれました。私は足の先しか入れませんでした。その人によればすべての湯がこんなに熱いわけではないそうなので、次は順番は気にせずに、近くにあった九番湯「大湯(おおゆ)」に。これは渋温泉を代表する名湯で、九湯めぐりの総仕上げなのだそうです。入ってみたら温度もちょうどよく、とても気持ちのよい温泉でした。これに気をよくして向かいの八番湯「神明滝(しんめいだき)の湯」に行ってみたら、脱衣所にいた人が「熱すぎて入れなかったわ」と言っていたので、入るのをやめて一度宿に戻って夕食まで休憩することにしました。
■夕食について
最近は「泊食分離(はくしょくぶんり)」といって、宿は素泊まりにして食事は外でというのがはやりなのだそうです。旅館も人手不足で食事の用意が大変だし、宿泊客も外で好きなものを食べられるというメリットがあるのだとか。ただ、渋温泉の場合は、温泉街に飲食店はあるものの、休業中の店も多く、食事の場所にはやや苦労しました。結局夕食は2日とも近くのおそば屋さんに行きました。おそばは好きだし、私はそもそもわりと少食なのでそれでよかったけど、少し豪華なもの確実に食べたいなら夕食付きのプランにするのがいいかもしれません。
■地獄谷野猿公苑
2日目は地獄谷野猿公苑に行きました。渋温泉のバス停から約10分で「スノーモンキー」バス停に着きます。(しかしながら「スノーモンキー」とはよく言ったものです。外国人観光客にはわかりやすく、たしかに「スノーモンキー」なわけなのですが、個人的には「地獄谷野猿公苑」の方を好みます)
バス停から一般車の駐車場まで約20分遊歩道を歩き、駐車場からは2キロぐらい雪の山道を歩きます。山道の入り口ではスノーブーツなどを借りることができます。私は家からスノーブーツを履いていったけど、さらに念を入れて、靴にはめるゴム製のスパイクを買いました。1380円、ちょっと迷ったけど、万一すべって谷から落ちたら、それこそ地獄谷に落ちるーー。以前インド旅行で転んで捻挫して大変だったことを思い出して保険と思って購入しました。
とにかく転ばないように慎重に歩いたためか、この山道はすごく長く感じられました。雪がつもっていたのでちょっと怖かったけど、雪がなければ、手軽なハイキングコースといった感じです。
何とか野猿公苑にたどり着き、入場料の800円を払って中に入ると、ニホンザルがいっぱい!中でも人が集まっているのは露天風呂の周りで、サルが温泉につかって気持ちよさそうにしています。苦労して歩いて来た甲斐があって、とてもかわいくて、見ていて飽きない。普段あまり写真を撮らないのですが、たくさん撮って、さらに売店で絵はがきまで買ってしまいました。帰りは駐車場付近のカフェでラーメンを食べました。おいしかったです。サルが温泉に入っているのを見て自分も入りたくなったため、バスで渋温泉に戻ってまた外湯めぐりを再開しました。
■外湯めぐり2日目
午後旅館に戻って少し休憩してから外湯めぐりを再開しました。六番湯「目洗(めあらい)の湯」、七番湯「七操(ななくり)の湯」。どちらもちょうどよい湯加減で、午前中寒い中たくさん歩いたので本当に気持ちよかったです。
■渋温泉によいヨガ:マーラーアサナ(花輪のポーズ)
温泉で湯あたりしないコツは両手を湯から出しておくことなんだそうです。温泉のロケによく行くタレントさんが言っていました。渋温泉は特に熱いので、湯船の中ではこのポーズが手を出しておくのがおすすめです。
■ふろく:インバウンドを実感
今回の旅行で驚いたのは、本当に外国人ばっかりだったということ。地獄谷野猿公苑でも、バスがバス停についたとたん、英語ガイドの腕章をした人が英語で「チケットをお持ちの方は後ろのドアから、お持ちでない方は前のドアから降りてください」と叫んで誘導を始めます。外国人観光客は京都とか奈良とか浅草とか、せいぜい箱根とかなのでは?というのは本当に古い考えで、最近の方たちは日本人より日本のよさを知っているんですね。渋温泉の九番湯「大湯」で一緒になったロシア人女性は、「東京ドームでレディガガのコンサートに行ってあまりに感動的で泣いてしまった。そのあと、伝統的な日本のよさを味わいたくて渋温泉に来た。ロシアはマイナス30度だけど、ここの方が寒く感じるのは湿度のせいかしら。ロシアでは小さな子が2人いるので忙しくて、あまり寝れない。今回は子どもは置いてきたので、とてもリラックスできている」と言っていました。子どもが小さいとよく寝れないというのは全く共感できることで、ロシア人女性と心が通じ合えたようでうれしかったです。(2026.1.26-28)
